ドライマウスについて
大阪の加藤歯科に寄せられる患者様からの歯科治療に関するお問い合わせから、よく頂戴するご質問をまとめました。
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ドライマウス/舌痛症についてのQ&A
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ドライマウスの原因は何ですか?
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・食生活
現代人の食生活は唾液を十分に出さずに飲み込めるファーストフードや食事が主流になっています。
このため唾液の分泌が従来よりも減り、口が渇く、舌がひび割れて痛いなどの症状が出ます。・精神的ストレス、緊張
ストレスがかかったり緊張をすると交感神経が刺激され、唾液の分泌が抑制されます。
あまり緊張しないよう楽しくゆとりある生活を心がけ、気分転換をしましょう。・薬物
抗鬱剤(抗うつ剤)、鎮痛剤、抗パーキンソン剤、降圧剤などの多くの薬物の副作用として
唾液分泌の低下があり、薬の量を減らすなど担当医と相談して下さい。・年齢によるもの
年齢とともに口や顎の筋力に低下や萎縮がおこり、唾液分泌量が低下。
70歳以上で男性16%、女性25%の低下。80歳では老人性萎縮により25%以上の低下。・口で呼吸する(口呼吸)
鼻炎などの鼻疾患や癖などで口で呼吸をすれば唾液は蒸発してしまい、口が渇く原因となります。
鼻疾患の治療や癖をなおしましょう。・その他病気など
浮腫、脱水症、糖尿病、シェーグレン症候群、放射線、骨髄移植 などが関与してきます。 ドライマウスは放置すると、どうなりますか?
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ドライマウスの患者様はこの4,5年で急激に増えています。一日にかなりの患者様が来院されますし、
珍しい症状ではありませんので、まずはあまり心配しないようにして下さい。ドライマウスは口の渇き、唾液の粘り気、飲水切望感に始まり、
進行すると口腔内の疼痛、灼熱感、嚥下障害、う蝕の多発、口臭、味覚異常、
粘膜の発赤、舌乳頭の萎縮による平滑舌、溝舌、口角びらん等を引き起こすことがあります。
また、カンジダ菌がつきやすくなることで、舌や唇の痛み、灼熱感、両側口角炎を引き起こすこともあります。原因には様々あり、お口の乾燥症状には個人差がありますので、まずは問診、口腔内診査、各種検査等を
行います。初期は症状が比較的軽いですが、あまり放置しすると治療効果がでにくく、
症状も軽減しにくいため、早めの受診を心がけてください。症状、検査の結果によってはお薬を飲んで頂いたり、口の中の保湿剤を使っていただいたり、
就寝時にマウスピースをはめたり。それぞれの症状に合わせ治療を行います。 どうして口が乾燥すると虫歯になりやすいのですか?
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ドライマウスになると口が乾燥し虫歯菌(ミュータンス菌)が流されずに残ります。
また、唾液の中には抗菌物質が含まれていますので、その唾液が減ると虫歯菌が増えていきます。また、ドライマウスの方は口の乾燥を改善するために飴を一日中なめている方も多く
さらに虫歯になるリスクが跳ね上がります。
ドライマウスの方は虫歯が非常に多く治療も大変ですので、早目に専門の先生に診てもらいましょう。 ドライマウスの原因の一つである、シェーグレン症候群とは
どの様な病気ですか?-
シェ-グレン症候群とは、ドライアイ、ドライマウスなどの乾燥症状を伴うことが多い、自己免疫疾患です。
シェーグレン症候群は、膠原(こうげん)病の合併のない一次性シェーグレン症候群と、
合併する二次性シェ-グレン症候群に分類されます。一次性シェーグレン症候群には、
涙腺・唾液腺に限局する腺型と、リンパ節、甲状腺、肺などに進展する腺外型があり、
腺外型では、リンパ節腫脹、慢性甲状腺炎、間質性肺炎、自己免疫性肺炎、
原発性胆汁性肝硬変、尿細管性アシドーシスなどの合併がしばしば認められます。二次性シェーグレン症候群では、
慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、進行性全身性硬化症、皮膚筋炎・多発性筋炎、
混合性結合組織病など他の自己免疫疾患を合併することがあります。
現在のところ、シェーグレン症候群に対する根本的な治療法は存在しないので、
内服薬などの対症療法が行われます。 半年前から舌の先が痛く、内科や耳鼻科に行っても「問題ない」と言われます。
どうしたらよいですか?-
舌痛症(ぜっつうしょう)の可能性があります。
ヒリヒリすり切れるような痛みや燃えるような灼熱感があり、
視診や触診などによって器質的変化が認められない慢性的な舌の痛みの状態をいいます。特徴としては、痛む場所(舌先や真ん中が痛い方が多い)が日によって違ったり、
食事中や何かに熱中している時は痛みを忘れることが多かったり、
味覚異常などを併発している場合も約半数を占めます。
ドライマウスが原因である場合も多く、ドライマウスの治療も同時に行います。
まじめな几帳面な性格の人に多く(専門的にはメランコニー型と呼ばれます)、
恐怖を生じるような身近な体験など心理的な因子により発症することが多いものです。
ここ数年、この疾患で診療所を訪れる患者様が増えています。舌炎による痛みとの鑑別診断がつけば、癌でないことの説明をさせていただきます。
歯の鋭縁などの刺激で舌に小さな傷や荒れが生じてなかなか改善しない方もおられます。
舌であちこち舐めまわす癖のある方の場合、ツルツルしたマウスピースを装着したり、
漢方薬が効く場合もあります。時間がかかりますが、あまり心配せず、根気よく治しましょう。
ほかに舌の痛みが出る病気は、細菌やウイルスの感染による口内炎や
カンジダ菌による炎症の場合もあります。カンジダ症がある場合には抗真菌剤が効くこともあります。 鏡で舌を見ると真ん中に深い割れ目があります。何か問題がありますか?
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舌の割れ目は、溝状舌(こうじょうぜつ)といい、舌の表面に多数ある溝です。
おそらく、家族性にみとめられる先天性溝状舌(こうじょうぜつ)であると考えられます。
通常は自覚症状がないが、形状の異常と悪性変化を気になさる方が多く、
文献的には成人の約15%に溝状舌がみられるといわれていますので珍しいものでもありません。
また加齢に伴い現れる場合もあります。痛みを自覚することもありますが、自然に消退する場合も多く、無害ですので心配はいりません。
特に治療法もありませんが、疼痛や炎症を伴う場合は、うがい薬や口腔用軟膏を使用することもあります。
また、舌の溝にカンジダ菌が付着し易いため抗真菌剤が有効なときもあります。疼痛や異常な変化を感じる場合は、専門の医院もしくは口腔外科を受診しましょう。
舌痛症ではどのような方、どのような症状が多いですか?
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舌痛症の代表的な特徴は以下のような症状です。
・40-60歳前後の中高年の女性に多い
・真面目で几帳面な性格の人がなりやすい
・歯科治療の後に発症することもしばしばある
・痛みは我慢できないほどではないが、1日中気になり、舌に神経が集中している感じである
・午前中より、夕方から夜にかけて痛みが増悪する
・痛む部位が移動することがある。唇や口蓋までピリピリ痛むこともある
・口内炎の軟膏をつけたり、ビタミン剤や痛み止めを飲んでも一向によくならない
・何度も歯の先などを研磨しても舌にこすれる感じがとれない
・口の中が乾いたり、「ザラザラした感じ」や味覚の変化(おいしくない、本来の味がしない)をしばしば伴う
・舌癌を心配していることが多い
・不眠や頭痛など自律神経症状を伴うことが多い
・CTやMRIでは特に脳の病変は認められないなどがあげられます。 ドライマウスの予防について教えて下さい。
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ドライマウスは色々な原因が重なって症状が出てくる場合が多くみられます。
生活習慣の中に該当するものがありましたら、一つずつ改善して下さい。○唾液腺をマッサージする。
唾液腺は唾を作る場所で顎の下から耳の下にかけてあります。
そこを一日何回かマッサージすることで唾が出やすくなります。○食生活
現代の食生活は唾液を十分出さずに飲み込めるファーストフードなどが主流です。このため、
唾液の分泌が従来よりも減少し乾燥します。ゆっくり噛み応えのある食品で唾液腺を刺激しましょう。○ストレス
唾液腺は交感神経という自律神経でコントロールされていますが、非常にストレスに敏感です。
ストレスや緊張で交感神経が刺激され、唾液の分泌が抑制されます。楽しくゆとりある生活を心がけ、
気分転換をしましょう。○ 薬物
抗鬱剤(抗うつ剤)、鎮痛剤、抗パーキンソン剤、降圧剤などの薬物の副作用としての唾液分泌の低下。
可能なら薬の量を減らすなど担当医と相談ください。(必ず主治医の先生にご相談下さい。)○ 保湿剤を使う(口臭予防と同様)
ポリグリセリルメタクリレートやヒアルロン酸配合の保湿潤滑剤や洗口剤を使用します。
特に就寝時に口の渇きがきつい方はモイスチャートレー(マウスピースの様なもの)と併用していただくと、
ほとんどの方に楽になったと喜んで頂いてます。 特に就寝時や起床時に乾燥感・ネバネバ感があります。
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ドライマウスの症状が就寝時や起床時に現れる方がおられます。
この場合、カンジダ菌の繁殖によるものか口呼吸によるものが考えられます。○カンジダ菌の繁殖
就寝中の口腔内は菌の繁殖に最適な温度と湿度です。
口は外部と接している臓器であり菌が侵入しやすく、カンジダ菌や様々な細菌の繁殖により、
朝起きた際の口腔内のネバネバ感が引き起こされている可能性があります。治療は抗真菌剤が効果的です。
同時に歯磨きを念入りに行い、就寝前に口腔内の菌をできるだけ減らす丁寧な口腔ケアが不可欠です。○口呼吸
もう一つの原因として、口呼吸が上げられます。
唾液が蒸発することによる乾燥感や唾液の蒸発によるカンジダ菌の繁殖がネバネバ感を引き起こします。
カンジダ菌は誰の口の中にも存在しますが、通常は唾液で洗い流されてしまいます。
しかし口呼吸することで唾液が蒸発してしまい、上手く流されずに菌が繁殖してしまうのです。治療は原因別に行っていきます。
【鼻閉塞が原因の口呼吸】
鼻炎の原因など鼻閉塞の解消を考えます。市販の鼻腔拡張テープなども効果的な場合があり、
必要であれば耳鼻科での診察もしていただきます。【口腔周囲筋の衰えによる口呼吸】
上向きで寝ると口が開きやすく、一度寝方をかえてみるのも大切です。【それでも緩和しないときは】
ナイトガード(歯ぎしり防止装置)の使用が効果的。保湿剤との併用で夜の乾燥間がかなり改善します。 特定の状態の時に乾燥感・ネバネバ感があります。
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緊張したり強いストレスを受けるなどして交感神経が優位になると
唾液の分泌が抑制され、口の中が乾燥し、ネバネバしてきます。
特に非日常的なことが起こると誰でもストレスを受けます。
普段のライフスタイルを見直し、どういったときに乾燥感やねばつきがおこるのか考えてみることで、
原因が見つかるときもあります。ただ症状が深刻な場合は少し気分を落ち着かせるお薬(SNRI、SSRI等)を
服用していただくのも効果的です。 薬をたくさん飲んでいます。ドライマウスに関係ありますか?
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花粉症の時期や風邪をひいた時に、鼻炎の薬を飲んだら鼻、目、口などあらゆるところが乾いて
困ったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
ドライマウスの中でも、このような薬剤による副作用が原因で引き起こされるものが
「薬剤性ドライマウス」です。
ドライマウスに悩まれている方の約半数ともいわれ、非常に多いケースです。主に向精神薬、降圧剤、
抗コリン剤、抗アレルギー剤などがドライマウスを引き起こす薬剤としてあげられます。ただし実際、内科主治医先生と相談しながら、これらの薬剤を減量、休薬を検討していくのですが、
現在服用中の薬を減量、休薬できるケースは少なく、保湿剤や漢方薬等で対応していきます。 口がかわいて水を飲み過ぎるとどうなりますか?
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水は飲みすぎても特に問題はありませんが、胃液がうすめられて胃腸の調子が悪くなることもあります。
また、満腹感から十分栄養のある食事ができなくなることもあるかもしれません。
水は飲むより、口に含んでうがいのようにすることもよいと思います。
また、 症状、検査の結果によってはお薬(漢方薬やシェーグレン症候群のお薬)を飲んで頂いたり、
口の中に保湿剤を使っていただいたり、夜にマウスピースをはめて寝て頂いたり。
それぞれの症状に合わせて治療していくと効果的です。 舌がひび割れているのはドライマウスですか?
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ドライマウスになると舌の粘膜も乾燥し、舌にヒビが入ったようになります。
溝状舌といい、 舌の表面に多数の溝が見られる状態です。自覚症状として、溝の部分に炎症を併発した場合、軽い痛みと刺激物による痛みがあります。
表面の溝の形態は、数本の溝や不規則で小さい溝、
舌中央に大きな溝がありここから小さな溝が左右に出ている形のもの、
舌縁に放射状にみられる場合や舌全体に分布するものもあります。溝部分は自浄作用が悪く、プラークで不潔となりやすく、軽度の炎症やカンジダ症も併発が多いです。
また、全身疾患は認めないが、老人に溝状舌を認めることがあります。
ときに疼痛を自覚するが、自然に消退する場合が多く、経過は良好です。
疼痛や炎症を伴う場合は、うがい薬や口腔用軟膏を使用することもあります。 どうして唇と目の検査が必要なのですか?
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ドライマウスの原因の一つにシェーグレン症候群があります。
シェ-グレン症候群とは、涙液分泌低下(ドライアイ)、唾液分泌低下(ドライマウス)などの
乾燥症状を伴うことが多い、自己免疫疾患です。この病気は、自分の唾液を分泌する組織や目の涙を出す組織を自分の細胞が攻撃してしまう病気です。
病気の判定をするために唾液腺という組織を少しだけ採取。顕微鏡で攻撃する細胞の有無をみます。
また、涙の腺も攻撃しますので、涙の量を測ることも、疾患の診断基準の一つです。シェーグレン症候群は典型的に中年女性に多い病気で、50歳代にピークがあります。
圧倒的に中年女性に多い病気ですが、高齢者や子供を含む若者にも見られます。
関節リウマチをはじめ、膠原病の患者によく発症することがあります。 漢方薬を飲んでますが、あまりききません。
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ドライマウスの治療に漢方薬を使用することがあります。
当院ではシェ-グレン症候群ではないけれど、うがい薬や保湿剤等では改善されない方に服用して様子を見て頂いてます。
ただ漢方薬は症状や個人差により、効く場合、効かない場合があります。また、副作用が比較的少ないです。漢方薬には即効性製はないため、しばらく継続することが必要です。普段の薬と違い、体質も徐々に改善していくイメージを持っていただくと良いと思います。
効果が少ない場合は、主治医の先生と相談していただいて、種類を変えてみるのも1つでしょう。 糖尿病で口が渇きますが何か良い方法はないですか?
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糖尿病の症状でよく知られるものは、口やのどの異常な渇きです。
糖尿糖の人はその名の通り、尿に糖が含まれています。糖を含んだ尿は浸透圧が高く、水を尿管をひっぱる力が強くなります。
その結果として多量の尿が排泄され、全身として脱水症状が慢性的にある状態になり、
ドライマウスが生じるそうです。糖尿病によるドライマウスは脱水症状が原因の一つといえます。治療は、内科での糖尿病のコントロールと、歯科による漢方薬の投薬。
保湿ジェルや人工唾液の使用などの対症療法となります。 高血圧の薬を飲んで口が乾きます。
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そのお薬を飲む前は問題がなく、お薬を服用している時だけ口が渇くということになれば、
病気が原因のドライマウスではなく、薬剤性のドライマウスの可能性が高いと言えます。一般に副作用により口腔乾燥を生じる薬剤として、降圧薬、利尿薬、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、抗不安薬、
鎮痛薬がよく知られ、それ以外にも口渇を来す薬剤は多くあり、日本医薬品集のデーターベースで副作用に
口渇を挙げているもの約600種類にものぼるとされています。多くの場合は全身状態の安定のため、お薬は必要であり、ドライマウスの治療は漢方薬や保湿剤使用による対症療法になります。
シルマーテスト、サクソンテストとはなんですか?
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どちらもシェーグレン症候群を確定するための検査です。
シルマーテストは、涙の量を測定するシェーグレン症候群の症状の1つで、ドライアイを診断するために欠かせない代表的な検査法です。
シルマーテストの方法は、大きさ7×50ミリほどの細い濾紙(涙紙)の一端を少し折り曲げ、
眼の涙点上に挟んで5分間まぶたを閉じます。濾紙に涙がしみこみますので、
その数値を読み取り涙の量を計測します。
5分間に出る涙の量が10mm前後であれば、正常と判断され、5mm以下であればドライアイが疑われます。サクソンテストとはドライマウスの唾液分泌検査の1つで、ガーゼに吸収した唾液量を測定します。
ガーゼを噛む前にガーゼの重量を計っておき、2分間噛んだ後のガーゼの重量とのその差を
唾液分泌量とします。2g/2分以下が唾液分泌低下とされています。
他にガムテスト、安静時唾液検査があります。 唾液分泌促進薬はどうして効くのですか?
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唾液分泌促進薬(塩酸セビメリン)は、弱った唾液腺に直接刺激を与えます。
唾液腺は交感神経と副交感神経の二重支配を受けていますが、
主な唾液分泌は、ムスカリン性アセチルコリン受容体を介した副交感刺激によります。
セビメリン塩酸塩水和物は、唾液腺や涙腺に作用して分泌機能を促進。
有効性はかなり高く、とても期待されている薬剤です。
副作用として、嘔気や腹痛などの消化器症状や発汗などがあります。ただし、消化器症状は内服量を
1~2週毎に増量することにより回避することができ、ステップアップ式投与法を行うと良いでしょう。これらの薬剤は唾液分泌を促進する有効な薬剤であり、
「シェ-グレン症候群に伴う口腔乾燥症状」に対して保険適応があります。