歯周病はなぜ恐ろしい?その原因と進行メカニズム

こんにちは。加藤総合歯科・矯正歯科理事長の加藤です。
今回は改めて歯周病の恐ろしさの発信をしたいと思います。
歯周病とは、歯を支える組織(歯ぐきや歯槽骨など)に炎症が起こる病気であり、進行すると歯が抜け落ちる原因となります。
多くの人が軽視しがちですが、日本人が歯を失う主な原因の1つが歯周病です。
主な原因は、歯と歯ぐきの間に溜まったプラーク(歯垢)に含まれる細菌です。
これが歯ぐきに炎症を引き起こし、やがて歯を支える骨にまで及びます。
初期段階では「歯肉炎」と呼ばれ、放置すれば「歯周炎」へと進行します。
この進行は非常にゆっくりで痛みも少ないため、気付かないうちに進行してしまうのが歯周病の厄介な点です。
悪化すると歯がグラグラし、最終的には抜歯が必要になることもあります。
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自覚症状が少ない初期段階こそ、早期発見がカギ
歯周病の怖いところは、初期段階ではほとんど自覚症状がないことです。
歯ぐきからの出血や軽い腫れを「疲れ」や「一時的なもの」と見過ごしてしまい、気づいた時には中等度以上に進行していることもあります。
こんな症状が見られたら、注意が必要です。
- 歯みがき時に出血する
- 口臭が強くなる
- 歯ぐきが下がって歯が長く見える
- 歯が浮いたような感じがする
これらのサインに気づいたら、早めに歯科医院でチェックを受けることが大切です。
歯周病は早期であればあるほど、治療効果が高く、進行を防ぐことができます。
(参考:厚生労働省_eヘルスネット)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-03-003
歯周病と全身疾患との関連性に要注意
最近の研究では、歯周病が口腔内の問題にとどまらず、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。
特に以下のような疾患との関連性が報告されています。
- 糖尿病:相互に悪影響を与え合う関係にあります
- 心疾患:動脈硬化を引き起こす原因の一つとされます
- 誤嚥性肺炎:高齢者に多く、歯周病菌が気道に入り込むことで発症
- 早産・低体重児出産:妊婦においては注意が必要です
このように、歯周病は全身の健康を脅かすリスクファクターでもあるため、「口だけの問題」として見過ごすべきではありません。
歯周病の予防と対策で健やかな口腔環境を守る
歯周病予防には、日常のセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアの両輪が欠かせません。
セルフケアで特に重要なのは、毎日の歯みがきです。
ポイントは以下の通りです。
- 歯と歯ぐきの境目を意識してやさしくみがく
- デンタルフロスや歯間ブラシを併用する
- 就寝前の丁寧なケアを欠かさない
また、生活習慣の改善も有効です。
喫煙は歯周病を悪化させる大きな要因であり、禁煙は予防に直結します。
さらに、バランスのとれた食生活や十分な睡眠、ストレスの軽減も歯周病予防につながります。
定期検診とプロケアの重要性
歯周病の最大の予防策は、「定期的な歯科検診」と「プロフェッショナルケア」です。
自分では落としきれない歯石やバイオフィルムを、歯科衛生士による専用の器具で除去することが重要です。
歯周病のリスクは個人差があるため、歯科医院では以下のような項目を確認しながら、適切な間隔でのメンテナンスを提案しています。
- 歯ぐきの状態(出血や腫れの有無)
- 歯周ポケットの深さ
- プラークの付着状況
- 歯並びや噛み合わせの問題
定期検診によって初期の変化に気づき、早期対応することで、長期的に歯を守ることができます。
まとめ
歯周病は「放っておいても大丈夫」な病気ではありません。
自覚症状が少ないまま進行し、やがて歯の喪失や全身疾患を引き起こすリスクもあるため、早期発見と継続的なケアが重要です。
まずは歯科医院でのチェックを受け、自分の歯ぐきの状態を正しく把握することから始めましょう。
そして、毎日の正しいブラッシングと定期的なプロケアを習慣化することで、健やかな口腔環境を保ち続けることができます。