金属アレルギーがあると矯正はできない?装置を選ぶ前に確かめること(大阪・羽曳野)

アクセサリーや時計のベルトで肌がかぶれたことがある、以前に金属アレルギーと言われた。そんな方が歯並びを治したいと考えると、口の中に長く入れる装置で同じことが起きないか、気になると思います。結論から言うと、金属アレルギーがあるというだけで、矯正ができないと決まるわけではありません。大切なのは、どの金属でどんな症状が出たのかを伝えたうえで、使う装置と部品の材料を一つずつ確かめてから方法を選ぶことです。
先生のひとこと
「ちゃんとこっちが情報提供した上で、自分で選んでもらったら、まあいいんじゃないですか」
理事長 加藤直之のYouTubeの動画(2024年8月21日公開・8分42秒ごろ)より
上の言葉は、虫歯を治したあとの詰め物の材料を、説明を聞いたうえで患者さんが選ぶことについて話したもので、矯正の装置や金属アレルギーの話ではありません。
この記事では、羽曳野の加藤総合歯科・矯正歯科(以下、当院)が、矯正の装置に使われる材料と、金属アレルギーのしくみや調べ方、相談の前に伝えておきたいことをまとめます。当院では現在ワイヤー矯正を行っておらず、マウスピース矯正を中心にしているため、マウスピースの矯正で確かめておきたい点にも触れます。
金属アレルギーがあると、矯正はできないのですか?
できないと決まっているわけではありません。矯正歯科の開業医の団体である日本臨床矯正歯科医会は、一般向けの相談のページで、矯正の治療に使われる金属材料にはアレルギーの原因になりうるニッケルやクロムなどが含まれるものの、矯正装置が原因でアレルギーが出たという報告は非常にまれだと説明しています。そのうえで、強いアレルギー体質の方は主治医に相談するよう勧めています。
同じページでは、どうしても心配な方のために、アレルギーを起こしにくいチタンやセラミックだけでできた材料も開発されているとしています。ただし、そうした材料は種類があまり多くないため、治療の内容に制約が出ることがあるとも書かれています。そうした材料を選ぶと、使える装置や治療の進め方が限られる場合があります。
金属アレルギーは、どのようにして起こるのですか?
日本歯科医師会の一般向けの解説では、金属アレルギーは、反応が出るまでに時間がかかる「遅延型」のアレルギーに分類されています。金属に触れて体がその金属を覚える段階(感作)と、同じ金属にもう一度触れたときに症状が出る段階(誘発)の、二つの段階で起こると考えられています。
同じ解説には、日常生活で触れる金属製品はとても多いため、原因を特定するのはとても難しいとも書かれています。「アクセサリーでかぶれた」という経験は大切な手がかりですが、それだけで、どの金属が原因なのかまで分かるとは限りません。
どの金属に反応するのかは、どうやって調べるのですか?
日本歯科医師会の解説では、金属アレルギーの検査として、48時間閉鎖型パッチテストを採用している専門医が多いとされています。試薬の付いたテープを背中に2日間貼り、はがしたあとに皮膚に出た反応を、2日目・3日目・7日目に判定する方法です。
検査の間は、汗をかく激しい運動を控えること、テープを貼ってから3日間は入浴を控えること、アレルギーの反応を抑える薬などを休むことが、注意として挙げられています。ふだん使っている薬は自分の判断でやめず、検査を受ける医療機関の指示に従ってください。一時的に症状が強くなることや、検査の試薬によって新たに感作(体がその物質を覚えること)が起こる可能性があることも、あわせて説明されています。
矯正の前にこの検査を受けたほうがよいかどうかは、これまでの症状や、すでに受けた検査によって変わります。相談のときに伺った内容をもとに、診察のうえでご説明します。
矯正の装置には、どんな材料が使われていますか?
装置の種類によって違います。歯に小さな装置(ブラケット)を付けてワイヤーで動かす方法では、金属の装置やワイヤーを使うことがあります。先ほどの日本臨床矯正歯科医会の説明のとおり、矯正の治療に使われる金属材料には、ニッケルやクロムなどが含まれています。
当院では現在、ワイヤー矯正は行っておらず、マウスピース矯正を中心にしています。当院の案内では、歯を動かすマウスピースはプラスチック製です。治療の途中で歯の表面に付ける数ミリほどの小さな突起(アタッチメント)は、歯と同じ乳白色のレジンという樹脂です。治療が終わったあとに後戻りを防ぐ保定装置(リテーナー)は、マウスピースの形のものを作って使っていただきます。ただし、歯並びが安定しにくい方には、固定式のワイヤーのリテーナーを付けることがあります。
当院のよくある質問でも、金属アレルギーが出ないと一般に考えられている金やチタンにも、アレルギー反応を示す人はいると説明しています。材料の名前だけで、自分に合うかどうかを決めないことが大切です。
マウスピースの矯正なら、材料の心配はいらないのですか?
マウスピースに替えれば、材料の心配がすべてなくなるとは言い切れません。確かめておきたい点が三つあります。
一つ目は、樹脂への反応です。当院の矯正治療の案内では、装置に使われている樹脂に対して、発疹・皮膚炎などの過敏症の既往がある方には、装置を使用できない場合があるとしています。金属だけでなく、プラスチックや樹脂の製品で肌が荒れたことがあるかも伝えてください。
二つ目は、マウスピースのほかに歯に付けるものです。先ほどのアタッチメントや、歯並びが安定しにくい場合の固定式のワイヤーのリテーナーのように、治療の途中や終わったあとに使う部品があります。始める前に、治療の最初から最後までにどんな部品を使う予定なのかを聞いておくと、材料を確かめる範囲がはっきりします。
三つ目は、マウスピースの装置で治せる歯並びかどうかです。日本矯正歯科学会は、すべての症例をこの装置だけで治せるとは考えにくいとしています。金属アレルギーがあることだけを理由に方法を決めるのではなく、歯並びとお口の状態を検査・診断したうえで、合うかどうかを判断します。
相談の前に、何を伝えればよいですか?
初めて相談するときは、次の四つを伝えていただくと、材料を確かめる話を進めやすくなります。
- 反応が出た金属や物と、そのときの症状
- 受けたことがある検査と、その結果
- 樹脂やプラスチックで肌が荒れたことがあるか
- お口の中にある金属の詰め物や被せ物

検査の結果が手元にあれば、相談の日にお持ちください。いつ、どの金属を調べた結果なのかが分かると、使う材料と照らし合わせやすくなります。ただ、以前の結果があることと、今回の治療で使う材料について確かめられていることは、同じではありません。足りないところは、歯科医師と相談しながら確かめていきましょう。
症状が出た時期や物の名前がはっきりしなくても、覚えている範囲で構いません。詰め物や被せ物に金属が使われているかどうか分からない場合も、そのままお伝えください。強いアレルギー体質の方や、皮膚の症状で通っている医療機関がある方は、その主治医にも矯正を考えていることを伝えておいてください。
治療中に気になる症状が出たら、どうすればよいですか?
金属アレルギーは、反応が出るまでに時間がかかるのが特徴とされています。新しい部品を付けた当日ではなく、しばらくたってから変化に気づくこともあるかもしれません。
お口の中や肌に、発疹など気になる変化が出たときは、次の通院を待たずに医院へ連絡してください。どの部品をいつ付けたかと、症状が出た時期を伝えていただくと、原因を考える手がかりになります。
治療期間・通院の目安と、主なリスクは?
マウスピース矯正は、公的医療保険が適用されない自由診療です。当院では、治療を始める前に検査で今の歯並びとお口の状態を確かめ、治療計画と費用の総額をご説明し、納得していただいてから始めています。始める前に、文書で同意をいただいています。
治療期間の目安は、軽度の症例で半年程度、標準的な症例で1年〜1年半程度、難しい症例で2年程度です。通院は基本的に2〜3か月に1回で、その間は当院が用意するアプリで毎週1回お口の写真を送っていただき、経過を確認します。期間と回数は歯並びやお口の状態によって変わるため、検査・診断のうえで見通しをご説明します。費用も、治療の範囲によって変わるため、検査・診断のあとにご説明します。治療の前後に、むし歯や歯周病の治療、抜歯が必要になる場合があり、その費用は内容によって保険診療または自由診療として別にかかります。
主なリスク・副作用として、装置の装着後や調整後の歯の痛み・違和感、汚れがたまりやすくなることによる歯肉炎やむし歯のリスク、発音のしづらさ、歯根吸収(歯の根が短くなること)や歯の神経が反応しなくなること(失活)、保定を怠った場合の後戻りがあります。装置に使われている樹脂に対して、発疹・皮膚炎などの過敏症の既往がある方には、装置を使用できない場合があります。いずれも程度には個人差があります。
【マウスピース型矯正装置に関する重要なお知らせ】
- 当院で使用するマウスピース型矯正装置のうち、プレオルソを除く装置(インビザライン、インビザライン・ファースト)は、医薬品医療機器等法(薬機法)上の承認・認証を受けていない医療機器です
- 装置ごとの区分: プレオルソは、国内で医療機器認証を受けた管理医療機器です(認証番号 225ADBZX00053000・製造販売業者: 株式会社フォレスト・ワン)
- 入手経路: 米国 Align Technology, Inc. が製造する装置を、同社の日本法人であるインビザライン・ジャパン合同会社を通じて購入しています
- 国内の承認医療機器の有無: 当院が確認した限り、インビザラインと同一の性能を有する、国内で承認または認証を受けたマウスピース型カスタムメイド矯正装置はありません。なお、ワイヤー矯正に用いる装置(ブラケット等)には国内で認証を受けた医療機器があり、これを用いる治療方法があります(当院では現在ワイヤー矯正は行っておりません)
- 諸外国における安全性等に係る情報: インビザラインは、1998年に米国 FDA(食品医薬品局)の 510(k) クリアランスを受けています。510(k) は、既存の医療機器と実質的に同等であることを示して米国内で販売できるようになる制度で、日本の承認とは審査の仕組みが異なります。全世界では累計2,200万人以上(2025年12月期時点・Align Technology, Inc. 公表)の治療に用いられています。また、2022年12月に米国で、3D治療計画ソフトウェアの不具合により必要な枚数と異なる枚数のアライナーが製造されるおそれがあるとして、製品の回収(リコール。米国 FDA の分類はクラスⅡ)が1件行われています
- インビザラインおよびインビザライン・ファーストは、医薬品副作用被害救済制度および生物由来製品感染等被害救済制度の救済の対象にはなりません
羽曳野院で矯正の相談をするには?
加藤総合歯科・矯正歯科の矯正治療は、羽曳野本院で行っています。大阪府羽曳野市白鳥2-16-34にあり、近鉄古市駅から徒歩3分です。電話は072-957-2686です。インターネットからはWEB初診予約をご利用ください。お電話でご予約のときや相談の当日に、「金属アレルギーがあって、矯正の相談をしたい」とお伝えください。
日本矯正歯科学会は、治療を受けるときは、その方法の利点と欠点、ほかの治療方法について十分に説明を受け、理解してから同意するよう呼びかけています。材料のことで気になる点が残ったまま始める必要はありません。一度の説明で決めなくても構いません。分からないことは、何度でも聞いてください。
大人になってからの矯正で年齢が気になる方は矯正は何歳まで受けられるかを説明した記事を、矯正中の歯みがきが気になる方は矯正中のむし歯と歯ぐきの守り方の記事も参考にしてください。
金属アレルギーと矯正装置の材料の出典:日本臨床矯正歯科医会「矯正装置をつけて金属アレルギーが出ることはありますか?」。金属アレルギーのしくみと検査:日本歯科医師会 テーマパーク8020「金属アレルギー」のとは何か・分類・発症の2段階・検査法。マウスピース型の装置についての学会の考え方:日本矯正歯科学会「アライナー型矯正装置による治療指針 一般公開にあたって」。装置と部品の材料・期間・通院・リスク・装置の承認の状況・金やチタンへの反応:当院の矯正治療の案内とよくある質問(2026年10月13日確認)。
- 監修: 加藤 直之(歯科医師/医療法人えみは会 理事長)|最終確認日: 2026-10-15


