マウスピース矯正でできない歯並びはある?相談の前に知っておきたいこと(大阪・羽曳野)

自分の歯並びは、マウスピース矯正で治せるのだろうか。調べていると、治せるという話も、難しいという話も目に入り、どちらに当てはまるのか分からなくなる方もいると思います。先にお答えすると、マウスピースの装置では治療が推奨されない歯並びや、ほかの方法を考えたほうがよい歯並びはあります。ただ、ご自分の歯並びがそれに当たるかどうかは、写真や鏡で見た印象だけでは決められません。検査と診断を受けて、説明を聞いてから判断することが大切です。
先生のひとこと
「できることもありますし、ダメなこともありますしって感じですかね。」
理事長 加藤直之のYouTubeの動画(2024年8月24日公開・1分9秒ごろ)より
この記事では、羽曳野の加藤総合歯科・矯正歯科(以下、当院)が、マウスピースの装置では難しいとされる歯並びの考え方と、装置をつける時間との関係、検査で分かること、相談の日に聞いておきたいことをまとめます。当院では現在ワイヤー矯正は行っておらず、マウスピース矯正を中心にしています。
マウスピース矯正で治せない歯並びはあるのですか?
あります。矯正歯科の開業医の団体である日本臨床矯正歯科医会は、一般向けの相談のページで、マウスピース型の矯正装置では推奨されない不正咬合(歯並びや噛み合わせの乱れ)があると説明しています。日本矯正歯科学会も、すべての症例をこの装置だけで治せるとは考えにくい、という考えを示しています。
一方で、マウスピースの装置で治療できる歯並びの幅は、以前より広がってきました。当院の案内でも、技術の進歩によって適応となる症例の範囲は広がってきたものの、すべての症例に適応できるわけではない、と説明しています。「治せる」「治せない」と二つに分けるより、どの歯をどの向きに、どれくらい動かす必要があるのかによって変わるものだと考えてください。
どんな歯並びが、マウスピースの装置では難しいとされていますか?
日本臨床矯正歯科医会の相談のページでは、日本矯正歯科学会の治療指針に書かれている推奨されない症例として、次の三つを挙げています。
- 歯を抜く必要がある症例(抜歯症例)
- 乳歯の時期や、乳歯と永久歯が混ざっている時期で、あごの骨の成長や歯の生え方を正確に予測しにくい場合
- あごの骨そのものに原因がある歯並びの乱れ(骨格性の不正)がある場合
当院の案内でも、当院で使っているマウスピースの装置は、奥歯を動かす治療、歯を抜いて歯を動かす治療、歯のねじれが大きい重度の叢生(歯が重なって並んでいる状態)のように、歯を回転させたり、大きく動かしたりする治療を苦手としている、と説明しています。あごの骨に原因がある場合については、次の節で説明します。
日本臨床矯正歯科医会は、治療を始める前に適切な検査と診断を行い、マウスピースの装置が合う歯並びかどうかを見極める知識や経験、技能が歯科医師に必要だとしています。ご自分の歯並びがどれに当たるのかは、検査をしてから分かることです。
あごの骨のずれが大きいときは、どうなりますか?
あごが上下・左右・前後に大きくずれている状態は、上下のあごの骨そのもののアンバランスに原因があります。日本臨床矯正歯科医会は、骨の成長が止まっている大人の場合、矯正の装置だけでは満足な治療結果が得られないと説明しています。受け口や、お顔の左右のずれが大きい場合などが、これに当たることがあります。
その場合の選択肢として、矯正の治療にあごの手術を組み合わせる方法(外科的矯正)があります。同じ会の説明では、矯正歯科の歯科医師が口腔外科などと連携して治療の計画を立て、手術のために10〜14日ほどの入院が必要になるとされています。成長期のお子さんであれば、あごの骨の成長を見ながら矯正の治療で改善を図れる場合もあると説明されています。
ご自分のずれが歯の傾きによるものなのか、あごの骨によるものなのかは、見た目だけでは分かりません。相談のときに、レントゲンなどの検査の結果を見ながら説明を受けてください。
装置をつける時間も、向き不向きに関わりますか?
関わります。日本臨床矯正歯科医会の見解では、マウスピースの装置による治療は、患者さん自身の使い方に結果が大きく左右され、推奨される装着時間は1日20時間以上とされています。使い方に結果が委ねられることと、歯を動かせる範囲に限りがあることから、予想と違う経過をたどったり、目標とした結果が得られなかったりすることがあるとも説明されています。
当院では、通院と通院の間は、当院が用意するアプリで毎週1回お口の中の写真を撮っていただき、経過を確認しています。それでも、毎日つけておくのは患者さんご自身です。仕事や学校、部活動などの毎日の過ごし方の中で、1日の大半の時間つけておく生活を続けられそうか、相談のときに一緒に考えましょう。
自分の歯並びが当てはまるかは、どうやって分かりますか?
検査と診断で分かります。当院では、初めての相談の日に、レントゲン撮影とお口の中のスキャンを行い、その日に分かる範囲の診断をご説明しています。お口の中をスキャンすると、機械が作るデジタルの模型で、ご自分の歯並びを外から見るように確かめられます。噛み合わせのバランスは模型の上に色分けで表示されるので、どの歯に負担がかかっているかを、目で見ながら説明を聞くことができます。
そのうえで、資料をもとにした診断の結果と、どのように歯を並べるかの計画、必要な費用、おおよその治療期間をご説明します。説明を聞いたあと、すぐに決める必要はありません。当院の案内にも書いているように、しばらく考えたい方や、話を聞いてみたかっただけという方もたくさんいらっしゃいます。
相談の日には、何を聞いておくとよいですか?
次の四つを聞いておくと、ご自分の歯並びに合った方法かどうかを考えやすくなります。
- 自分の歯並びは、マウスピースの装置で治療しやすい形かどうか
- 難しいとしたら、どの歯の、どんな動きが難しいのか
- マウスピースの装置が合わない場合に、ほかにどんな方法があるのか
- 1日につけておく時間と、通院や写真の確認の進め方

治療の方法を選ぶ前に、利点と欠点、ほかの治療方法の説明を十分に受けて理解したうえで同意してほしいと、日本矯正歯科学会も呼びかけています。先ほどお伝えしたように、マウスピースの装置による治療は、予想と違う経過をたどることもあります。そうなったときにどう進めるのかも、始める前に聞いておくと安心です。
聞きたいことは、短いメモにして持ってきていただいて構いません。説明の中で分からない言葉があれば、その場でもう一度聞いてください。
治療を始めてから、思ったように進まないと感じたら?
まずは、治療を受けている医院にその気持ちを伝えてください。日本臨床矯正歯科医会は、治療が進んでいないと感じたときは、治療を始めたときから今までの経過について説明を受けるよう勧めています。話し合いの時間をしっかり取ってもらえるよう、前もって伝えておくことも大切だとしています。
当院では、定期的な通院のたびに、マウスピースが浮いていないか、歯の表面に付けた小さな突起(アタッチメント)が取れていないかなどを確かめています。治療の途中で、突起を足したり外したりすることもあります。気になることがあれば、次の通院を待たずにご連絡ください。
治療期間・通院の目安と、主なリスクは?
当院のマウスピース矯正は、公的医療保険の使えない自由診療です。始める前の検査で今の歯並びとお口の状態を確かめ、治療の計画と費用の総額をお伝えして、納得していただいてから文書で同意をいただき、治療に入ります。
期間の目安は、軽度の症例なら半年程度、標準的な症例なら1年〜1年半程度、難しい症例なら2年程度です。来院は基本的に2〜3か月ごとで、来院のあいだは、当院が用意するアプリでお口の中の写真を毎週1回撮って送っていただき、進み具合を見ています。実際の期間と来院の回数は、検査・診断のあとに、その方の歯並びに合わせてお伝えします。費用は治療の範囲によって変わるため、検査・診断のあとにご説明します。治療の前後に、むし歯や歯周病の治療、抜歯が必要となる場合があり、その分は内容によって保険診療か自由診療として別にかかります。
治療に伴って起こりうることとして、当院の案内では次のものを挙げています。どれも程度には個人差があります。
- 装置をつけたあとや調整のあとに、歯の痛みや違和感が出ることがある
- 装置のまわりに汚れがたまりやすくなり、歯肉炎やむし歯のリスクが上がる
- 装置によって発音しづらく感じることがある
- 歯が動くのに伴って、歯根吸収(歯の根が短くなること)や、歯の神経が反応しなくなること(失活)が起こる場合がある
- 治療のあとに保定を怠ると、後戻りが起こることがある
- 装置に使われている樹脂に対して、発疹・皮膚炎などの過敏症の既往がある方は、装置を使用できない場合がある
【マウスピース型矯正装置に関する重要なお知らせ】
- 当院で使用するマウスピース型矯正装置のうち、プレオルソを除く装置(インビザライン、インビザライン・ファースト)は、医薬品医療機器等法(薬機法)上の承認・認証を受けていない医療機器です
- 装置ごとの区分: プレオルソは、国内で医療機器認証を受けた管理医療機器です(認証番号 225ADBZX00053000・製造販売業者: 株式会社フォレスト・ワン)
- 入手経路: 米国 Align Technology, Inc. が製造する装置を、同社の日本法人であるインビザライン・ジャパン合同会社を通じて購入しています
- 国内の承認医療機器の有無: 当院が確認した限り、インビザラインと同一の性能を有する、国内で承認または認証を受けたマウスピース型カスタムメイド矯正装置はありません。なお、ワイヤー矯正に用いる装置(ブラケット等)には国内で認証を受けた医療機器があり、これを用いる治療方法があります(当院では現在ワイヤー矯正は行っておりません)
- 諸外国における安全性等に係る情報: インビザラインは、1998年に米国 FDA(食品医薬品局)の 510(k) クリアランスを受けています。510(k) は、既存の医療機器と実質的に同等であることを示して米国内で販売できるようになる制度で、日本の承認とは審査の仕組みが異なります。全世界では累計2,200万人以上(2025年12月期時点・Align Technology, Inc. 公表)の治療に用いられています。また、2022年12月に米国で、3D治療計画ソフトウェアの不具合により必要な枚数と異なる枚数のアライナーが製造されるおそれがあるとして、製品の回収(リコール。米国 FDA の分類はクラスⅡ)が1件行われています
- インビザラインおよびインビザライン・ファーストは、医薬品副作用被害救済制度および生物由来製品感染等被害救済制度の救済の対象にはなりません
羽曳野院で矯正の相談をするには?
矯正の相談は、加藤総合歯科・矯正歯科の羽曳野本院(大阪府羽曳野市白鳥2-16-34・近鉄古市駅から徒歩3分)で受けています。お電話(072-957-2686)かWEB初診予約でご予約ください。予約のときや相談の当日に「マウスピース矯正で治せる歯並びか知りたい」と伝えていただくと、その点から説明を始められます。
説明を聞いたその日に決める必要はありません。ご家族と相談してから決めてもかまいません。気になる点は、始める前に何度でも聞いてください。
噛み合わせが深いと言われたことがある方は噛み合わせが深いと言われたときの相談の目安の記事を、大人になってからの矯正で年齢が気になる方は矯正は何歳まで受けられるかを説明した記事も参考にしてください。
マウスピース型の矯正装置で推奨されない歯並びの出典:日本臨床矯正歯科医会「アライナー型矯正装置(マウスピース型矯正装置)でどんな歯並びでも治療することができますか?」。あごの骨のずれと外科的矯正:同「顎変形症を治すには外科手術が必要だと言われましたが、矯正歯科治療だけでは無理なのでしょうか?」。装着時間と結果の関係:同「カスタムメイドのアライナー型矯正装置(マウスピース型矯正装置)に対する本会の見解」。治療が進まないと感じたとき:同「アライナー型矯正装置(マウスピース型矯正装置)で治療をしていますが治療が進んでいません。どうしたらいいですか?」。すべての症例をこの装置だけで治せるとは考えにくいとする学会の文:日本矯正歯科学会「アライナー型矯正装置による治療指針 一般公開にあたって」。装置が苦手とする動き・相談と検査の流れ・期間・通院・リスク・装置の承認の状況:当院の矯正治療の案内(2026年10月16日確認)。
- 監修: 加藤 直之(歯科医師/医療法人えみは会 理事長)|最終確認日: 2026-10-17


