口が渇くと口臭が気になる? 口の乾燥と唾液の働き、続くときの確かめ方

「口が渇くと、口臭が気になる」——そう感じたことのある方は、少なくありません。
結論から申し上げます。口の渇きと口臭には、関わりがあります。 口の中がうるおっているときよりも、乾いているときのほうが、においのもとになるガスは発生しやすいと考えられているからです。ただし、その渇きが「一時的なもの」なのか「ずっと続いているもの」なのかで、考えることは変わってきます。
この記事では、口の渇きと口臭がなぜ結びつくのか、そして一時的な渇きと、確かめたほうがよい渇きの見分け方を整理します。
※本記事は、実在の患者さんに基づかない一般的な解説です。実際の診断・治療方針は、診察のうえで判断します。
なぜ口が渇くと、口臭が気になりやすいのか

口臭の主な成分は「揮発性硫黄化合物(きはつせいいおうかごうぶつ)」と呼ばれるガスです。口の中にすむ細菌が、はがれた粘膜や食べかすに含まれる硫黄を含んだ成分を分解することで作られるとされています(厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の原因・実態」)。
ここで働いているのが唾液です。においのもとになる舌の汚れ(舌苔)は、起床時や絶食時などに量が多くなる傾向があるとされ、噛む・飲み込むといった動きや唾液の分泌量と大きく関係していると考えられています(厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の治療・予防」)。においのもとになるガスは、その舌の汚れの上で最も多く作られるとされています(同)。
一時的に口が乾きやすいのは、どんなとき

だれの口でも、次のようなときには一時的に乾きやすくなります。
- 起きたとき(寝ている間は、口を動かさないぶんうるおいが減ります)
- 長い時間、食事をとらなかったあと
- 緊張しているとき
- 水分が足りていないとき
- 口を開けて呼吸していたとき
これらは異常ではなく、時間帯や体の状態による変化です。口臭にも同じように一日の中での波があり、口を動かす活動から時間が経つほど、においのもとになるガスの濃度は高くなるとされています(同「口臭の原因・実態」)。水分をとる・食事をとる・口を動かすといったことでうるおいが戻れば、においも落ち着いていくのが、一時的な口臭です。
その渇き、一時的? それとも続いていますか
切り分けの起点は、「うるおいが戻れば落ち着くか」です。
一時的と考えやすいサイン
- 起きたときや空腹のときだけで、水を飲む・食事をとると気にならなくなる
- 緊張していた場面が過ぎると、渇きも口臭も和らぐ
- 前の日の食べ物・飲み物や、水分不足に思い当たる
いずれも、うるおいの量が変わるタイミングと重なります。判断に迷うときは、時間帯ごとに気になったかどうかを数日メモしてみると、診察のときにも役立ちます。
歯科で確かめたほうがよいサイン
- 水を飲んでも、日中ずっと口が乾いている
- 会話や食事がしづらいと感じるほど乾く
- 乾きだけでなく、口臭も一日中続いている
- 歯ぐきから血が出る、大きな穴のあいた歯が残っている
- 舌がひりひりする、話しづらいと感じることがある
こちらは、うるおいが戻っても落ち着きにくい型です。時間帯だけでは説明のつかない渇きには、別の背景が考えられます。
一時的な渇きのときに、気をつけたいこと
強く磨いたり、舌を何度もこすったりといった「やりすぎ」は、かえって粘膜を傷めることがあるため、この記事ではおすすめしていません。その日にできる対処のしかたや記録の取り方は、歯磨きを忘れた朝の口臭、どうする? 一過性かどうかの見分け方でくわしく説明しています。
なお、においの出どころは、口の渇きだけとは限りません。治していない歯が関わることもあります(虫歯で口臭は起こる? においだけでは決められない理由と確かめ方)。においだけで原因を決めず、順番に確かめていくのが近道です。
歯科では、口の渇きと口臭をどう確かめるか
「渇きが続いている」「口臭も一日中続く」というときは、原因の出どころを確かめる段階です。当院(大阪・羽曳野)では、次のように確認していきます。
1. 口の中と、歯・歯ぐきの状態を確かめる
見える範囲は目で確認し、歯と歯の間や詰め物の下など、見ただけでは分からない場所は、必要に応じてエックス線検査で確かめます。エックス線では、口の渇きの原因になることがある唾石(唾液腺の石)も確かめます。
歯ぐきについては、ポケットの深さ・出血の有無・歯の動揺を調べる「歯周基本検査」と、骨の状態をみるエックス線検査が基本とされ、診断と治療計画を立てるために行われます(日本歯科医学会「歯周病の治療に関する基本的な考え方」令和2年3月)。
2. においの出どころを測って切り分ける
当院では、口臭測定器(オーラルクロマ)でガスの種類とレベルを測定しています。
- 息を採取するだけの検査です。採取の時間そのものは約1分、結果が出るまでが約4分。痛みを伴うことはほとんどありません
- 費用は 550円(税込) です。これは測定に使うシリンジの物品としてのお支払いで、測定のたびごとにかかります(保険診療の初診料・再診料などは別途かかります)
- 保険診療を受けたその日に、あわせて口臭測定を受けていただけます
※ここでの 550円は、口臭測定に使うシリンジの費用です。歯や歯ぐきの検査・治療にかかる費用は内容によって異なり、保険が適用されるものと自由診療になるものがあります。
3. 渇きが続く場合は、その背景も確かめる
口の渇きが背景にあると考えられるときは、当院で血液検査を行うことがあります。口の渇きは、唾液をつくる唾液腺の炎症や、膠原病といった全身の病気にともなって起こることが知られているためです。血液検査は、そうした背景がないかを確かめる手がかりとして行うもので、これだけで病名が確定するわけではありません。結果から歯科の範囲を超えると考えられるときは、内科などの受診をおすすめし、必要に応じて紹介状をお書きします。
ここまでの検査は、いずれも保険診療の範囲で行うことができます(実施の要否は診察のうえで判断します。適用の範囲は症状により異なる場合があります)。
よくある質問
Q1. 水を飲めば、口臭は消えますか?
一時的な渇きによる口臭であれば、水分をとって口がうるおうと、落ち着いていくことが多いと考えられます。ただし日中ずっと乾く、飲んでもすぐ乾くという場合は、水分をとるだけでは説明のつかない背景があるかもしれません。
Q2. 口を開けて呼吸する癖は、口臭と関係ありますか?
口を開けたままだと、口の中の水分が蒸発しやすくなります。乾いた状態が続けば、においのもとになるガスも発生しやすくなると考えられます。気になる場合は、確かめてみるという選択肢があります。
Q3. 年齢のせいで口が渇くのは、しかたないことですか?
「年齢のせい」と決めてしまう前に、確かめられることがあります。口の渇きには、時間帯によるものから、全身の状態が関わるものまで、いくつもの背景があるためです。原因によって、できることも変わってきます。
Q4. 家族に口臭を指摘されました。気にしすぎでしょうか?
自分のにおいは自分では気づきにくいため、ご家族の指摘は大切なきっかけになります。気にしすぎでも、放置でもなく、まず「今どうなっているか」を確かめることができます。「治療の必要はない」と分かることも、大切な結果のひとつです。
まとめ
- 口の渇きと口臭には関わりがあり、うるおいが減ると、においのもとになるガスが発生しやすくなると考えられます
- 起床時・空腹時・緊張時などの一時的な渇きは、うるおいが戻れば落ち着いていくことが多いものです
- 一方で、日中ずっと続く渇きには、別の背景が考えられます
- 歯・歯ぐき・においの出どころ、そして渇きの背景を、順番に確かめていくのが近道です
口の渇きと口臭が気になる方、しばらく歯科を受診していない方は、まず検査・ご相談から。
ご予約・お問い合わせ
お電話:072-957-2686
WEB 予約:WEB初診予約はこちら
口臭測定について詳しくは 口臭測定(口臭予防)のご案内 をご覧ください。
この記事の監修・参考情報
監修:医療法人えみは会 理事長 加藤直之(歯科医師)/口腔外科歴20年以上。平成25年8月まで青山病院にて非常勤(歯科口腔外科・ドライマウス・舌痛症外来を担当)
参考情報
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の原因・実態」(監修:山賀孝之・松本歯科大学 歯学部 公衆衛生学講座 教授/2019年12月18日 最終更新)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-07-001.html - 厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の治療・予防」(監修:同上/2019年12月18日 最終更新)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-07-002.html - 日本歯科医学会「歯周病の治療に関する基本的な考え方」(令和2年3月)
https://www.jads.jp/assets/pdf/basic/r02/document-200401-1.pdf


