朝の口臭は腸のせい? 胃腸・内臓と口臭の関係、原因の大部分は口の中
「口臭の原因は、胃や腸などの内臓にあるのではないか」——そう考えて、この記事にたどり着いた方は多いかもしれません。
結論から申し上げます。口臭の原因の大部分は、実は口の中にあると報告されています。 全身の病気にともなって現れる口臭もありますが、公的資料はそれを「極めて限定的」としています(厚生労働省 e-ヘルスネット)。胃腸や内臓を思い浮かべた方こそ、まず口の中から確かめる価値があります。
「口臭は胃腸から来るもの」と感じるのは、自然なことです。この記事では、そう思う理由をふまえながら、口臭の本当の出どころと、その確かめ方を、公的資料をもとに整理します。
※本記事は、実在の患者さんに基づかない一般的な解説です。実際の診断・治療方針は、診察のうえで判断します。
「口臭は胃腸や内臓から」と感じるのは、自然なことです
体の内側の不調と口臭を結びつけて考えるのは、ごく自然な感覚です。実際に、全身の病気の兆候として口臭が現れることもあります。
ただ、その割合は、多くの方が思うよりも小さいことが分かっています。ある大学病院で、口臭を心配して来院した約1,000名を調べた統計では、およそ次のような内訳だったと報告されています(厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の原因・実態」)。
- 約3分の1 … 口の中の清掃状態にともなう口臭(生理的口臭)
- 約3分の1 … 口の中の病気(歯周病)による口臭
- 1%あまり … 代謝の病気・鼻やのどの病気・呼吸器の病気など、呼気に由来する口臭
- 約3分の1 … 治療の必要な口臭は認められなかった
口の中に原因がある口臭が全体のおよそ3分の2を占め、呼気に由来する口臭(代謝の病気・鼻やのど・呼吸器の病気など)は1%あまりにとどまっていた、ということです。同じ資料は、「口臭の大部分は口の中に原因があり、その多くは舌苔(ぜったい=舌の表面につく白い苔状のもの)と歯周病です。全身疾患の兆候として現れる呼気経由の口臭もありますが、極めて限定的と考えて良いと思われます」とまとめています。
そもそも、口臭はどこから来るのか
口臭のもとになるのは、「揮発性硫黄化合物(きはつせいいおうかごうぶつ)」と呼ばれるガスです。口の中にすむ嫌気性菌(けんきせいきん=酸素の少ない環境を好む細菌)が、唾液や、はがれた粘膜の細胞、食べかすなどに含まれる硫黄を含んだ成分を分解・腐敗させることで作られるとされています(同「口臭の原因・実態」)。
この揮発性硫黄化合物は、口臭の大部分(80%以上)を占めるとされ、その主な出どころは舌の汚れ(舌苔)と歯ぐき(歯周病)だと報告されています。とくに、においのもとになるガスは舌の上で最も多く作られるとされています(同「口臭の治療・予防」)。
まず確かめたいのは、口の中です。ここが出発点になります。
体の内側(全身の病気)が原因のときは
もちろん、体の内側が関わる口臭がまったくないわけではありません。同じ資料は、全身の病気にともなう口臭の例として、糖尿病や、腎臓・肝臓の病気などを挙げています。こうした場合には、糖尿病のアセトンのようなにおいなど、口の中が原因のにおいとは質の違うにおいとして現れることが知られています。
ただし、くり返しになりますが、こうした全身の病気の兆候として現れる口臭は「極めて限定的」とされています。「胃や腸の調子が悪いと口が臭う気がする」と感じることもあるかもしれませんが、公的資料が全身の原因として挙げているのは、消化器そのものよりも、糖尿病・腎臓や肝臓の病気、鼻やのど、肺などが中心です。
大切なのは、においの出どころを思い込みで決めてしまわず、確かめることです。
「朝、口臭が気になる」のは腸のせい?
「朝起きたときの口臭は、腸内環境のせいではないか」と考える方もいます。
朝の口臭の多くは、生理的口臭と呼ばれるものです。眠っている間は唾液が減り、口の中の細菌が増えやすくなります。実際、においのもとになる舌の汚れ(舌苔)は、健康な人でも起床時や空腹時に増える傾向があるとされ、噛む・飲みこむといった動きや唾液の分泌量と関係していると考えられています(同「口臭の治療・予防」)。
つまり、朝の口臭は「腸内環境が直接の原因」というよりも、寝ている間に起こる口の中の変化によるところが大きいと考えられます。朝の口臭が一過性のものかどうかの見分け方は、歯磨きを忘れた朝の口臭、どうする? 一過性かどうかの見分け方 で詳しく整理しています。
なお、自分では気づかないのに家族からにおいを指摘されるようになった場合は、歯周病が背景にある可能性があります(同「口臭の治療・予防」)。歯周病と口臭の関係は、PG菌とは? 歯周病と口臭の関係、検査で分かること・分からないこと をご覧ください。
出どころを切り分ける、確かめ方
においの感じ方は、自分ではあてになりにくいことが知られています。だからこそ、思い込みで決めるのではなく、出どころを切り分けて確かめることが役に立ちます。
当院(大阪・羽曳野)では、口臭測定器(オーラルクロマ)で、においのもとになるガスの種類とレベルを測定しています。どのガスがどの程度出ているかは、においの出どころを考えるうえでの手がかりになります。ただし、全身の状態にともなうにおいの中には、口の中が原因のにおいとよく似たものもあると報告されています(厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の原因・実態」)。測定結果だけで原因が確定するわけではありません。
あわせて、歯ぐきについては、ポケットの深さ・出血の有無・歯の動揺を調べる「歯周基本検査」が基本とされています(日本歯科医学会「歯周病の治療に関する基本的な考え方」令和2年3月)。当院でも、歯周病が関わっていないかをこの検査で確かめます。
- 息を採取するだけの検査です。採取の時間そのものは約1分、結果が出るまでが約4分。痛みを伴うことはほとんどありません
- 費用は 550円(税込) です。これは測定に使うシリンジの物品としてのお支払いで、測定のたびごとにかかります(保険診療の初診料・再診料などは別途かかります)
- 保険診療を受けたその日に、あわせて口臭測定を受けていただけます
※ここでの 550円は、口臭測定に使うシリンジの費用です。歯や歯ぐきの検査・治療にかかる費用は内容によって異なり、保険が適用されるものと自由診療になるものがあります。
なお、歯科で確かめた結果、口の中では説明がつかないと考えられるときは、歯科の範囲を超えると考えられるため、内科などの受診をおすすめし、必要に応じて紹介状をお書きします。
まとめ
- 口臭の原因の大部分は口の中にあると報告されています(口の中由来がおよそ3分の2、呼気に由来する口臭は1%あまり)
- 口臭のもとになるガスは、主に舌の汚れ(舌苔)と歯ぐき(歯周病)から出るとされています
- 全身の病気にともなう口臭もありますが「極めて限定的」で、糖尿病や腎臓・肝臓の病気などが中心です
- 朝の口臭は、腸内環境よりも寝ている間に起こる口の中の変化によるところが大きいと考えられます
- 出どころは思い込みで決めず、測って確かめることから始めましょう。体の内側が疑われるときは、内科などへの受診をおすすめします
口臭の原因が気になる方、しばらく歯科を受診していない方は、まず検査・ご相談から。
ご予約・お問い合わせ
お電話:072-957-2686
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口臭測定について詳しくは 口臭測定(口臭予防)のご案内 をご覧ください。
この記事の監修・参考情報
監修:医療法人えみは会 理事長 加藤直之(歯科医師)/口腔外科歴20年以上。平成25年8月まで青山病院にて非常勤(歯科口腔外科・ドライマウス・舌痛症外来を担当)
参考情報
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の原因・実態」(監修:山賀孝之・松本歯科大学 歯学部 公衆衛生学講座 教授/2019年12月18日 最終更新)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-07-001.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の治療・予防」(監修:山賀孝之・松本歯科大学 歯学部 公衆衛生学講座 教授/2019年12月18日 最終更新)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-07-002.html
- 日本歯科医学会「歯周病の治療に関する基本的な考え方」(令和2年3月)
https://www.jads.jp/assets/pdf/basic/r02/document-200401-1.pdf


